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「老後に2000万円不足」問題はなぜこんなに騒ぎになってしまったのか?理由を考えてみる

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FPトガクレです。

 

先日記事にもした金融庁の「老後に2000万円不足」報告書ですが、世間では何かと話題になっています。

 

いちおう過去記事も貼っておきます。
www.fp-togakure.com


めちゃめちゃざっくり金融庁の報告書を説明すると、

 

金融庁「このまま長生きすると、だいたい老後に2000万円は年金の他に必要だぞ」

 

「だから今のうちからちゃんと資産運用しとけよ。良い制度も用意しといたから」

 

ってなもんです。


正直自分は記事にした時点では「年金だけでは足りないことを公式にアナウンスしたな。これからもちゃんと資産運用しないとな」と思っただけです。

 

ごく当たり前のことを、ごく当たり前に金融庁が言っただけだと思いましたから。

しかし世間の風当たりは違いました。


発表されてからテレビやSNSで大騒ぎとなりました。

 

 

世間の反応は?

 

SNSをチェックしたり、周囲の人に聞き取りをしましたが、おおむね以下のような反応でした。

 

  • 「年金はずっと安心と言ってたじゃないか!」
  • 「高い年金を積み立てているんだから何とかしろ!いやむしろそうなら払いたくない!」
  • 「今でも苦しいのに、2000万円も貯められるわけないだろ!」

 

あたりに集約されると思います。

 

参議院決算委員会でも野党が追及する構えを示しているとのこと。

 

新聞より一部抜粋します。

 「年金は『100年安心』じゃなかったのか」
 立憲民主、国民民主、共産、社民など野党各党派が6日午前に国会内で金融庁や厚生労働省の担当者を呼んで開いた合同ヒアリングで、立憲会派の大串博志衆議院議員はこう詰め寄った。

2019年6月7日朝日新聞朝刊3面より

 

その他に、立憲の辻○清○さんの意見なども紹介されていましたが、かなり感情論なんで省略します(笑)

 

それに対し、

 一方、報告書を出した金融庁からは当惑の声が漏れる。
 報告書は、身近な金融機関と連携し、投資や資産運用で「資産寿命」を伸ばす「自助」を促すことが狙いだった。
 金融庁幹部の一人は「金融庁で年金制度そのもののあり方を問題提起する意図はない。年金の厳しさばかりを強調するつもりはない」と説明。「年金制度はダメだとはどこにも書いていない。理解されるまでしっかり説明していくしかない」と語る。

としています。

 

ちょっと余談ですが、この「~幹部の話」はいったい誰から聞いているのでしょうか(笑)
いつも疑ってしまいます。

 

まあ内容はその通りでしょう。


しかし「2000万円不足」だけが一人歩きしてしまい、金融庁が一番伝えたかったちゃんと資産運用してね」まで行き着いていません。

 

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なぜこれほどまでに騒ぎになってしまったのか?

 

一つは年金の支給について「今まで大丈夫だって言ってたのに裏切られた!」と感じるからでしょう。

 

確かに現役世代からしたら毎月高い年金を積み立てているんだから、生活ぐらい保障しろよという気持ちはわかります。

 

しかし別に金融庁が今回出してきた数字は、以前からの数字と大きく減っているわけではない。
既視感がある内容です。

 

では今回の騒ぎになった理由を考えると、「2000万円不足」のインパクトが大きかったんだと思います。

 

私は以前の記事で「2000万円は今の段階での計算なので、2500~3000万円位になっちゃうかもね」なんて能天気に書いてしまった位です。

 

私自身は20台後半より自分の老後に必要な金額をざっくり計算し、その分を積み立てて投資してきました(インデックス投資)。

 

だから正直金融庁が「2000万円不足」といわれても、「だよねー」としか思いませんでした。

 

しかしこの老後までに「2000万円貯める」のは、資産運用している人していない人では、大きく感じ方と対応が違ってきてしまいます

 

「2000万円」の認識の違い

 

それでは老後までに2000万円をためる場合に、投資をする人としない人で、毎月の金額にどのくらい差が出てくるのか見てみましょう。

 

計算は楽天証券のサイトを利用しています。

 

条件は、「現在30歳、65歳で引退」としますので、積み立て期間は35年とします。

 

①投資しない人の場合(普通預金金利 0.001%)

普通預金で35年間積み立てたシュミレーションです。

 

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 ※赤字の部分です


というわけで、毎月「47,611円」を積み立てる必要があります。

 

これは一般人ではちょっと難しいですね。

 

このことに30歳でちゃんと気が付ける事も必要ですが、これだけの金額を積み立てながら生活し、その他子どもの教育費なども捻出するとなると厳しい時もあるでしょう。

 

支出が多い時も少ない時も、毎月必ず「47,611円」をコンスタントに積み立てるのは、ちょっと現実的ではない。


いや、できる人はいると思いますが、日本国民全員が行うのは無理といっていいでしょう。

 

もちろん積み立てるのが10年遅れれば(40歳スタートだとしたら)、さらに金額は増えてしまいます。
(ちなみに計算したら66,658円でした。いやちょっと無理だわこれ)

 

2019年現在では金利が悲惨なことになっていますので、追い討ちをかけています。

 

「金利は今が大底で、今後は上昇するんだ!」とお思いになるかもしれませんが、目に見えて金利が上がっている頃には物価も当然上がっていることでしょうから、それで生活費は相殺されてしまいますし。

 

②株式インデックスファンドで投資する場合(期待リターン 5%)

株式インデックスファンドでの投資を35年した場合です。

 

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というわけで、毎月「17,604円」を積み立てる必要があります。


普通預金とはかなり大きな差がつきました。
毎月約3万円です。

 

ここまで大きな差がついたのは、30歳から「35年間」という長期にわたって「複利」で運用できたことによるものです。

 

実際に2000万円の内訳も、ほぼ半分は運用益となっているほどです。

 

もちろんここでは「期待リターン 5%」としているので、年に5%で運用できなければ、もっと積み立てる必要がなります。

 

しかしながらこの「5%」はこれまでの歴史から考えると、少し弱めの数字となっているので、そう遠くはない数字でしょう。

(株式の期待リターンは通常6~7%とされている)

 

投資をしなければ30歳から毎月「47,611円」を積み立てなければならないのに対し、投資をした場合は「17,604円」で済みます。

 

この温度差が今回の騒動の根底にあると考えています。

 

自民党も表現が不適切であったと認める

 

問題が大きくなったことについて、自民党もその表現が不適切であったと釈明しています。

麻生金融担当相「あたかも赤字ではないかと表現したのは不適切であった」

菅官房長官「誤解や不安を招く表現であり、不適切であった」

 

と認めている。

 

まとめ

 

まあでもこれまでも金融庁は、「老後は年金だけでちゃんと生活しけるよ(はーと)」とかって言っていたわけではないんです。

 

以前から年金の先細りは再三発表してきたし、年金の他にもしっかりと資産形成するようにと示してきました。

 

今回の報告書の目的は、

 

  • 老後にそれなりの生活するには「2000万円不足」と金額をはっきりさせたこと
  • ニーサやイデコなどを活用し、早いうちからの投資を呼びかけた

 

ここにあると思います。

 

急に年金運用が絶望的になったわけではありませんので、冷静に受け止める必要があります

 

これまでのように、働いてさえいれば給料も年々アップし、不動産を買えばどんどん値段が上がる時代は終わりました。

 

退職金でも2000万円以上ある方はごく一部でしょう。

 

しかし、豊かな老後に向けて金融庁の言うようになるべく早い段階から投資などで老後資金を準備することができれば、老後までに2000万円という目標は、非現実的な目標ではないはずです。

 

積み立て投資はなるべく早く始めることで、複利の力を最大限に発揮することができます。まだ投資をされていない方は、勇気を出して始めてみましょう。